実は歯周病になると、いくら治療をしても歯周組織は完全に元通りません。そのため、できるだけ早いうちに処置を施し、進行を遅らせて歯を長持ちさせることが大事なのです。
進行を遅らせれば遅らせるほど、歯の寿命が長くなります。逆に、治療に取りかかるのが遅れるほど、治療内容は難しく外科的処置も必要になり、またそれだけの治療をしても完全には元通りにはなりません。しかも、放っておけば悪化して次第に歯がぐらつき、最終的には歯が抜けてしまったり、あるいは抜歯をせざるを得ない状況になってしまったりするのです。
大切なのは、早期発見・早期治療。生涯にわたってご自分の歯で食事を楽しめるよう、できるだけ早い対応を心がけましょう。
進行段階 | 症状 | 治療法 |
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歯肉炎 |
歯ぐきに炎症が起きている状態。ブラッシングの際などに出血しやすくなります。歯周ポケット(歯と歯ぐきの境目の溝)の深さは、3mm程度です。 |
【ブラッシング指導】 ごく軽度の場合は、正しいブラッシングで改善することがあります。歯並びやみがき方のクセなどを踏まえた正しいみがき方をお話しします。 |
軽度歯周炎 |
顎の骨が溶けはじめた状態。歯ぐきが腫れ、ブラッシングの際に出血が見られるだけでなく、冷たい水がしみたり、口臭が出たりします。歯周ポケットの深さは、4mm程度です。 |
【スケーリング】 歯に付着したプラーク・歯石を取り除くスケーリングという処置を行います。 |
中等度歯周炎 |
顎の骨が半分くらい溶けた状態。歯を指で押すとぐらつききます。歯ぐきの腫れや出血に加え、歯が浮くような感じがしたり、口臭が強くなったりします。歯周ポケットの深さは、6mm程度です。 |
【歯周ポケット掻爬(そうは)術】 麻酔をしたうえで、歯周ポケットの深い部分に付着した歯石を掻き出します。スケーリング・ルートプレーニングで取りきれなかった歯石を取り除きます。 |
重度歯周炎 |
顎の骨の3分の2以上が溶けた状態。歯のぐらつきがひどくなります。歯ぐきが下がり歯根が露出し歯が長く見えたり、歯と歯ぐきの境目から膿が出て口臭がよりきつくなったりします。この状態を放置すると、最悪の場合、歯が抜け落ちます。歯周ポケットの深さは、8mm程度と非常に深くなります。 |
【フラップ手術】 歯ぐきを切開してめくり上げ、歯石を除去する外科手術を行います。歯根部を露出させ、歯根表面にこびりつく歯石や汚染された歯周組織を取り除き、縫合します。 |
【検査法】
ポケット検査
歯周病が進行するにつれ、歯周ポケットは深くなります。ポケットの深さを測り、進行段階を調べます。
歯の揺度検査
歯周病が進行するにつれ、歯はぐらつきを増します。歯が揺れる度合いを調べ、進行段階を調べます。
レントゲン検査
歯周病が進行するにつれ、顎の骨はどんどん溶かされていきます。レントゲンによって骨の密度を調べ、進行段階を確認します。
細菌検査
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お口の中にはさまざまな細菌が棲んでおり、その種類や量などは一人ひとり異なるもの。歯周病菌の状態を調べ、適切な治療計画の立案に役立てます。 |
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治療前 |
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治療後 |
こちらの顕微鏡で見ると、こんなに菌がいることがわかります。しっかりと治療をすることで右のように菌がいなくなります。 |
だ液検査
唾液を採取して細菌の種類や数を調べる検査です。これらを知ることにより、歯周病の効果的な予防計画が可能になります。
【治療法】
ミノマイシンを使った処置
「ミノマイシン」という抗生物質を使い、細菌を除去します。
スケーリング・ルートプレーニング
軽度歯周炎に対して行う処置。歯周ポケット内のプラーク(歯垢)や歯石を「スケーラー」という器具を使って取り除きます。最後に歯根面をツルツルに磨き上げ、汚れの再付着を防ぎます。
歯周ポケット掻爬(そうは)術
中等度歯周炎に対して行う処置。局部麻酔をかけ、歯周ポケット内の歯石や膿などとともに炎症を起こしている歯肉部分も取り除きます。
フラップ手術
重度歯周炎に対して行う処置。歯ぐきを切開して歯根を露出させ、付着しているプラークや歯石を取り除きます。
高濃度次亜鉛素酸水を使用した処置
当院では、除菌効果が期待できる「高濃度次亜鉛素酸水」を歯周病対策に用いています。安全性が高く、万が一飲んでしまったり皮膚や粘膜に触れてしまったりしても問題はありませんので、ご安心ください。